この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第2章    

 危なげない運転で、15分掛けてリンクに到着したヴィヴィは、

「着いたよ、起きて?」

 ワインレッドの革の助手席に眠るクリスを、やんわりと揺り起こした。
 
 双子はいつも通り、柿田トレーナーのもとで身体を創り。

 ショーンコーチとサブで付いてくれる女性コーチの元、集中して午前中のレッスンを終えた。

「クリス、シャワー浴びてく?」

 リンク脇のベンチ。

 ヴィヴィは隣に腰掛けたクリスに、スケート靴の紐を解きながら尋ねる。

「うん、そうだね……」

 今朝の7時半。

 執事のリーヴが、いつも通りに朝食を届けてくれた際、

『皆様はまだお休みでしたね。朝食は採って頂ける様、用意して出て参りましたので、ご心配には及びませんよ』

 そう発していた。

 という事は、現在時刻12時の今はまだ、両親と兄夫婦はあの屋敷に滞在している可能性が高く。

 スケート靴を足から引き抜きながら、嘆息したヴィヴィに対し、

「あ……」

 顔を上げていたクリスが、小さな声を上げる。

「ん……? どうしたの?」

 脱いだそれを膝の上に乗せたヴィヴィが、双子の兄の視線の先を辿り、

「ふぎゃ……っ!?」

 車に轢かれた蛙の断末魔(聞いた事無いけど)――の如き声を上げた。

 なんと、2階にあるカフェテリアから、父と母が両腕を大きく振っているではないか。

 その隣には、匠斗をだっこした、瞳子も微笑んでいて。

「うわぁ……」

「21歳にもなって、参観日、みたい……」

 押し並べて嫌そうな表情を浮かべる双子の顔は、本当に瓜二つで。

「ふ……っ」

 背後から聞こえたその笑い声に、兄妹は揃って振り返る。

「兄さん……」

「………………っ」

 そこにいたのは、微笑みを浮かべた匠海だった。 

 慌てて視線を外したヴィヴィは、早朝の様にばっちりと兄の顔を目にする事だけは回避出来た。

 出来た、けれど。

 半袖のウェアに包まれた胸が、急にそわそわと落ち着きを無くしていた。

/1163ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ