この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第2章    

 まるで米俵でも担ぎ上げる様に、娘を肩に乗せたままの父に、

 最初は目を白黒させていたヴィヴィも、両手両脚をバタつかせ始めた。

「ヴィヴィ、落っことすから、暴れちゃ駄目だよ」

 父のその忠告に、ヴィヴィは心の中で瞬時に突っ込む。

(いや、降ろして欲しいから、暴れてるんですっ)

「ヴィヴィ」

 名を呼ばれ、腹筋を使ってぱっと顔を上げると、

 目の前に仁王立ちしていたのは、にやあと悪い笑みを浮かべた母で。

「ヴィヴィ、これから1週間。ロンドンのオーウェン家と、エディンバラのワイアット家に「一緒に行く」って言うならば、降ろしてあげてもいいわよぉ~~?」

「んな゛……っ!?」

 7月頭、仙台のホテルに滞在中。

 ジュリアンからのその誘いの電話に、ヴィヴィは「行かない」と答えたのに。
 
 まさか、実の母が “拘束” という凶行に及んでくるとは夢にも思わず。

 目の前のジュリアンを、ぎろりと迫力満点に睨んだヴィヴィだったが、

 そうしながらも “母を攻略するよりは、父を懐柔するほうが易し” と瞬時に目算を立てる。
 
 すっと息を吸い込んだヴィヴィは、全勢力を総動員し、これでもかと愛らしい声を発してやった。

「やぁ、降ろしてぇ、ダッド……」

 娘の か弱くて甘ったるい、まるで ふわふわのメレンゲの如き懇願の声に、

「~~~っ!? か、可愛い♡ ああ、虐めて悪かったねえ、ヴィヴィ~~♡」

 まさかまさか。

 グレコリーは簡単に娘の罠に引っ掛かり、地面にすとんと華奢な身体を降ろしてしまった。

(ふふんっ ちょろい、ちょろいっ!)

 咄嗟に逃げを打つヴィヴィだったが、

「グ~レ~コ~リ~~ィ~~!?」

 地獄の閻魔大王の如き、母の唸り声に、

「ひぃ……っ ゆ、許せ、娘よ……っ」

 一体どんな地獄を見たというのか。

 心の底からの恐怖の声を上げた父は、今度は娘を横抱きにし、肩と両膝をこれでもかとがっちり拘束してきた。

「………………」

 胡乱な瞳で父を見上げながらも、ヴィヴィは篠宮家のピラミッドの頂点を見た気がした。

(そして、間違いないく、BOP(ボトム オブ ピラミッド:最底辺)は自分だな……)

/1163ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ