この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第2章
抵抗空しく、そのまま駐車場に連行されたヴィヴィは、
待たせてあったらしい、黒塗りリムジンの後部座席に放り込まれた。
「ほっほっほっ ワタクシに会ったが百年目。ここまで来たからには、いい加減に観念せ~~いっ!」
娘の身体を中へ中へと文字通り押し込んだジュリアンは、勝ち誇った表情で、ヴィヴィの細い鼻を摘まんで勝利を宣言する。
父とクリスが乗り込み、リムジンの扉が閉められる瞬間、
「~~~っっ!? 悪代官かぁ~~~っ!! かぁ~~~、かぁ~~……」
ヴィヴィが叫んだその突っ込みだけは、やまびこ としてその場に虚しく響き渡っていたのだった。
そうして拉致された結果、連れて来られたロンドン郊外の屋敷。
以前よりは丸みの減った頬を、これでもかと膨らませたヴィヴィは、
まだ15時だと言うのに呑み始めた両親と匠海夫婦、父方の祖父母、クリスとサンルームにいた。
というか、父に片腕で腰を拘束されていて、逃げる事が出来なかった。
「ほら、ヴィヴィ。ダッドに注いで?」
白ワインのボトルを手渡してくるグレコリーに、ヴィヴィは膨れっ面のままお酌をしていたが。
それでも30分も経つと、いい加減にキレた。
「もう……っ クリスだって、いるでしょ?」
自分の隣、知らんぷりして紅茶を飲んでいる双子の兄に、矛先をずらそうとしたが、
「クリスは本当に、孝行息子だからねえ~。松濤に戻る度に、私の晩酌に付き合ってくれるんだよ?」
そう事実を並べられては、ヴィヴィは何も言い返せる訳も無く。
「……むぅ……」
小さく口の中で唸ったヴィヴィは、押し黙ってお酌を続けるしかなかった。
「ああ、可愛い♡」
もう酔い始めたのか、父は娘に頬擦りまで始める始末で。
21歳にもなって、家族の前でそんな辱めを受けるのに耐えられず、必死にクリスに視線で助けを求めるが、
「ヴィヴィ、何事も諦めが肝心だよ……」
「………………」
この屋敷に、自分の味方は1人もいやしない。
到着して1時間、ヴィヴィはようやく現実を悟ったのだった。