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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第10章     



 大学との両立が大変で、心身を整えられなかった。

 昨シーズンよりも練習時間が減っていた。

 メディアに追われ、集中して準備が出来なかった。


 言い訳なら、幾らでも出来る。

 しかしそれと同じく、その言い訳を覆す事も出来るのだ。


 大学の課題に振り回されたのは、自分の要領が悪いから。

 練習時間が減ったとはいえ、それは東大在学中と同じ条件だった。

 パパラッチに関しては……、まあ、ちょっと。

 フィリップに対し、恨み節の一つも言いたくはなるが。



 下の階に到着し、間接照明に照らされた廊下を、重い足取りで進む。



『悔いは無いです』

 なんて――

 嘘ばっかり。

 つまり、自分が全て悪いのだ。

 どこかに甘えがあった。

 自分で限界を作って、そこで甘んじてた。



 自分の双子の兄・クリスは、

 昨年 同条件でも、全ての試合で優勝出来ていたのに――



 深い溜息を零しながら、辿り着いた客室の扉を開錠し。

 誰もいない暗いワンルームのそこに、気持ちが更に沈み込む。



 自分はなんて不器用で、駄目な人間なのだろう。

 せめて、

 自分の為に わざわざパリまで駆け付けてくれた匠海に、笑顔で相対したかったのに。



 昨夜、打ち上げに出掛けた時に纏っていたのと同じ衣服を脱ごうと、

 ニットパーカーのファスナーを摘まんでいた細い指が、ふと止まる。

 そして、静かな客室に響いたのは、

「あ゛~~、なんか、駄目だ! 何だか、脳味噌がマイナス思考だっ!」

 そう、悲観的な自分を叱咤する声。



 いかんいかん。

 マイナス思考になっても暗くなるだけで、何一つ良い事は無いと、

 これまでの経験則で解かっているのに。


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