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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第10章

「……プールでも、行くかな……」
ISUのオフィシャル・ホテルは、嬉しい事に24時間営業のプールがある。
しかし、フィットネスセンターは6時からの営業と、ちょっと意味が解らないが。
せっかくシャワーを浴びるなら、身体を動かしてすっきりしよう。
なんせ本日も、エキシビションに出演するのだ。
気持ちを切り替えて、応援してくれた皆に恩返しをせねばならない。
手早く準備を整えたヴィヴィは、客室を後にし。
戻って来た時よりは軽い足取りで、プール階へと向かったのだった。
「あれ……? どしたの、クリス。まだ5時だよ?」
到着したプールの受付。
そこで先客を認めた途端、驚きの声を上げたヴィヴィに対し、
「……ヴィヴィこそ……」
双子の兄から返されたのは、そんな当然の答え。
「あ~~、うん。何か泳ぎたくなっちゃって」
「僕も……。一緒に泳ごうか……」
いつも通りの無表情の兄の誘いに、妹は明るい表情で頷く。
「うん! てか、あの……私、昨日……?」
「ヴィヴィったら……。シャンパン1杯で、寝ちゃったから……。おんぶして、部屋まで連れ戻しました……」
広い肩を竦めてみせるクリスに、ヴィヴィは「やっぱりかっ!」と心の中で懺悔し。
「そ、それは大変な、ご迷惑を……」
そう謝罪しながら、金の頭をぺこりと下げる。
「全然いいけど……。でも、太ろうね……?」
更に貧相になった妹の全身を見下ろし、発されたクリスの注意に、
しょぼくれたヴィヴィは、素直に頷いたのだった。
「あ~~い(´・ω・`)」
そして、
青いタイルが鮮やかな温水プールに、ストレッチもそこそこ。
テンションが上がったヴィヴィは、美しい弧を描きながら飛び込んだのだが。
「はい、そこ~。「飛び込み禁止!」って書いてありますよね~? お客様~?」
間延びした声で、注意を寄越してきたプールスタッフに、
「あ~~い。すんまそ~~ん(´-●ω●-`)」
ゴーグルをしたまま、素直に謝ったヴィヴィなのだった。

