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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第10章

午前中はエキシビションのリハを行いつつ、合間合間に各社の取材を受け。
そうして行われた13:30からの、GPファイナル エキシビション。
昨日まで世界のトップ選手が激戦を繰り広げていた、パレ・オムニスポール・ド・パリ・ベルシー。
本日もフランスを始めとする熱心なフィギュアファンで溢れ返り、15,000人を優に超える観客が埋め尽くしていた。
一昔前までは世界規模で見れば、マイナー競技であったフィギュアスケート。
それが今や、男子は連勝が止まらず。
試合に出場する度にギネス世界記録を更新し続ける、不動の王者――篠宮 クリス。
そして女子は、ヴィヴィアン・リー と 篠宮 ヴィクトリア。
この2名の21歳の選手が、常に表彰台の1位2位を独占しつつ。
下からはロシアを初めとする、将来有望な10代半ばの選手が突き上げているという、目の離せぬ状況。
常に注目の的の1人であるヴィヴィは、女子シングル銀メダリストとしての滑走順を待機する間、
カメラを向けて来た大会のキー局のマイクに向かって、にっこり微笑んだ。
「Victoria,Comment allez-vous?
――調子はどうだい、ヴィクトリア?」
「Va bien♡ Je ferai de mon mieux~!
――良い感じ♡ 頑張ってきま~す!」
黒の丈短ビスチェとミニスカートを細い身体に纏ったヴィヴィは、手にしていた赤いレースの扇子を広げ、
ひらひらと振りながら、アリーナへと続くバックヤードを歩いて行ったのだった。
その数時間後――
「ごめんっ ヴィヴィ、ホントごめんね!」
ISUオフィシャルホテルのバンケット会場。
同フロアの隅にある女子バスルームには、そんな謝罪が響いていた。
「へ? 何が?」
いきなり謝られたヴィヴィは、うっすらメイクを施した小さな顔に、きょとんとした表情を浮かべる。

