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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第10章

「ヴィクトリアに、よく似合ってるよ」
そう褒めながらも、手はすでに背中のファスナーを下し始めているという矛盾に、小さな顔に苦笑が浮かぶ。
腰まで下ろされたファスナー。
まるでプレゼントの包みを開く様に、ゆっくりと細い肩から降ろされていく青いドレス。
露わになった首筋に、先程のヴィヴィと同様に、舌を這わせ始めた匠海。
「……っ ふ……、ぁん」
熱くぬめったそれを感じた途端、甘い吐息を零してしまう。
兄の口付けは執拗で。
白く透き通る肌へ紅い鬱血を残すことに、何の躊躇いも無い。
この日の為に買い揃えたブラは、白地に青・紺・水色のレースや刺繍が施された、清楚なもの。
「凄く、綺麗だ……」
切れ長の瞳を熱っぽく細め囁いてくる兄に、さすがに恥ずかしくて。
腰にわだかまっているドレスを、両手でくしゃりと握れば。
「……ぁ……、おに……ちゃっ」
ブラの上からすっぽりと宛がわれた大きな掌に、早鐘を打つ心臓。
「ずっと……ずっと、こうしたかった……」
反対の手で、俯いていた顎を持ち上げられ。
うっとりと表情を見下ろされながら、貧相な乳房を愛されるのは今でも慣れない。
途端にかぁと火照る頬。
その熱さと兄の視線の強さに、更に鼓動が加速し、息が乱れる。
「……も、もっと……」
薄い唇が堪らず、懇願の言葉を紡ぐ。
「ん?」
「……もっと、触って……?」
恥ずかしいのに、見つめられたい。
くすぐったくもあるけれど、沢山触れて欲しい。
目の前の愛しい男に、己の心と躰が じんわり解けて行くのを感じつつ、
ヴィヴィは兄を見上げながら、甘く蕩けた微笑みを浮かべた。

