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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第10章     



 今から半月程前。

 某国の皇太子との(有り得もしない)熱愛を報道された際。

 「怒ってる?」と問うた妹に、兄は「いいや、怒ってないよ」と答え。



『俺はヴィクトリアを信じているし』

『俺のことも信じているから』

『俺は “ヴィクトリアに愛されるに足る” と思っているから。だから、大丈夫』



 ――なんて。 

 雰囲気イケメン辺りが口にしたら、速攻 罵声が飛んできそうな “色男発言” をされた事は、記憶に新しい。
 
 敏感な内太ももを、ちゅっとリップ音を立てて吸われたかと思えば。

「確かに『怒ってはいない』けれど『嫉妬』はしている。お前の傍にずっといられる男達に……。もちろん、クリスや朝比奈にも」

 そんなまさかの返事を寄越した兄に、妹は「えぇっ!?」と驚嘆した。

「ヴィクトリアの “ボケ” に、常に突っ込める奴らが憎い。恨めやましいっ!」

「……っ だ、誰が “ボケ” ですかっ」

 無自覚のヴィヴィがそう反抗するも、匠海はさらりと流す。

「だから、俺だけが欲しいって、態度で示して?」

「……~~っ」

(た、態度って……っ)

 恋人同士だった頃。

 妹におねだりさせるのが大好物だった兄は、何度も強請ってきたが。

「ほら、ヴィクトリア……?」

(な、なんで、久しぶりに逢えたのにぃ~~っ!)

 そう理不尽に思うものの、ヴィヴィはもう限界だった。

 視界に入る、これ以上無い程 勃ち上った匠海の分身。

 許されるならば兄を押し倒し、跨って自分で嵌めたいと思う程、ギリギリの状態で。

「……ヴィ……っ ヴィヴィ、の、中に……、お、お兄ちゃんの硬いの、ほしいよぉ……っ」

 蚊の鳴くような声で、厭らしく懇願した妹に対し。

「中って?」

 兄が返したのは、そんな鬼畜な返事だった。

「~~~っ!? こ、……ここっ」

 細い指先で、鈍く光る茂みの先を指し示しすも。

「ここって?」

「……っ いやぁ……」

 全く折れる気の無い匠海の強情加減に、小さな顔がくしゃりと歪む。

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