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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第10章     



 翌日――12月11日(月)



 長い睫毛に縁取られた灰色の瞳は、開放感にキラキラと輝いていた。

 激戦が繰り広げられたGPファイナルは、昨日で終了し。

 10月15日から始まった大学のミカエルタームも、昨日で終了。

 まあ10日後には全日本選手権が控えてはいるが、本日は ☆完全オフの日☆ なのだ。

 そして、ヴィヴィが上機嫌な理由は、それだけではない。

 己の右腕を絡ませた男を見上げれば、コートの襟を立てた匠海が、そこにはいて。

(いやんっ デートみたい♡♡♡)

 モフモフ・ダウンの襟の陰、思わずにんまりしてしまう。



 昨夜、オフィシャルホテルの兄のスイートで、熱い夜(キャッ)を過ごし。

 今朝も早くから、存分にベッドでイチャコラし(ィャン)

「折角だから、パリの街をデートしようか?」

 そんな素敵なお誘いをくれた匠海に、こうしてエスコート(フニャン♥)され。

 2人はパリ12区にある試合会場のすぐ傍――元ワイン倉庫を改装したモールへと出掛けていた。



「…………ムフっ❤」

(やばいっ 外で見るお兄ちゃん、超かっこいいっ てか、皆がお兄ちゃん見て、振り返ってるぅ~~♡)

 芸術の都パリ――つまり審美眼が半端無いフランス人に囲まれているというのに、

 9頭身のモデル体型と、東洋と西洋の良いとこ取りをした端正な顔立ちは、衆目を集めていた。

(ふっへっへっ 私のお兄ちゃん、素敵でしょ~? カッコいいでしょ? でしょでしょっ o(*≧▽≦)o゛)

 「何処かで頭でもぶつけたか?」と心配になるくらい、ハイテンション(& キモい)ヴィヴィに対し、

「お前……「むふっ」って言った、今?」

 少々呆れた視線を寄越してくる匠海。

「ふぇ!? い、言う訳無いでしょっ!」

「言ったって」

「い……っ 言ってないもんっ」

 思わずムキになって言い返す妹に、苦笑を滲ませた兄は「はいはい」と最後には折れた。

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