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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第10章

その後も、クリスマスのデコレートをされたモールの店々を冷やかした2人。
ランチはフランス田舎料理の、小洒落たビストロを選び、
匠海は昨夜の宣言、
『明日、たらふく食わせて太らせてやる』
を実行に移すべく、パイやらキシュやら、カロリーの高そうなものばかりをヴィヴィに食べさせた。
「も……も、無理ぃ……orz」
「まだ、全然食べてないじゃないか」
これでもかと並べられた料理の数々から、ヴィヴィは「うぷっ」と目を背ける。
「だって……。お兄ちゃんったら、バター風味やらクリームたっぷりの頼むんだもん。もう、お腹重いよぉ」
「しょうがない。じゃあ、最後にほら……イチゴ」
デザートの皿に彩りとして付いていた赤いそれを、指で摘まんだ兄。
妹の気を引くように顔の傍で軽く振ってみせると、それには関心を示したヴィヴィが、瞬時にパクと食べた。
「うむ……。爽やか後味、美味である(-_-)」
「ぷっ あははっ」
一通り笑ってから、残った料理を黙々と食べ始めた匠海。
その様子を向かいの席で頬杖を付きながら、見守っていたヴィヴィ。
「……ヴィクトリア」
「ん~~?」
「お前……。そんな蕩けた顔で俺のこと見つめてたら、周りにバレるぞ?」
「え……?」
(蕩けた顔……?)
自覚無く首を傾げたヴィヴィに、匠海は困った様に笑い。
「お前が「俺に恋している」って」
そう日本語で注意した後も、照れもせずに食事を続ける兄。
自分が「匠海に恋している」――?
「……~~っっ」
(す……凄いことサラっと言うな、この人……)
思わず小さな顔を細い掌で覆ったヴィヴィに、
匠海はその間から覗いていた額を、ちょんと突いてからかったのだった。

