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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第10章     

 賑やかなランチを終え、ビストロを出た途端。

 兄妹を待ち構えていたのは、1人のパパラッチだった。

 眩しいフラッシュを焚いてくる男には、見覚えがあったヴィヴィ。

 全く怯む事無く、両腕を開いた身体の後ろに、匠海を匿う。

「ヴィヴィ! 新しい恋人? 見かけに寄らず、やるなあ~~?」

 オックスフォードでも自分をしつこく追っ駆け回していた(ホットチョコあげた)顔見知りのパパラッチに、ヴィヴィは心を鬼にして喚く。

「この人は、私の上のお兄ちゃんですっ! 写真ダメっ 一般人なんだからねっ!!」

 そのまさかの事実に、盛大な勘違いをした目の前の男の両手から、カメラが下され。

「うえ゛っ!? お兄さんっ!? ちょ……っ ええ~~。まじ勘弁……っ」

「こちらの知ったことですか!」

 というか。

 パパラッチなんぞ、写真が売れてナンボだろうに。

 叩いても殴っても、出てくる埃(?)と言えば “実の兄” くらいしか男関係の無いヴィヴィなんぞ、

 追っ駆け回すだけ時間の無駄では無いのだろうか?

「え゛~~……。てか、似て無さ過ぎにも程があるだろ? 片や “童顔”……。片や “オリエンタル・イケメン” とか……」

 期待外れと言いたげに、がっくり肩を落とすパパラッチの暴言に、ヴィヴィは思わず泣きそうな声で突っ込んでしまった。

「う……っ うっさいわ~~っ!!」

(その遺伝子の不思議については、私も常々思うところあったけど、他人に言われる筋合いも無いわ~~っ!!)

「ちっ しくじった。ちょww、ヴィヴィ。俺50枚も、写真撮っちゃったじゃん。フィルム代 返してよ~~?」

「てかそれ、デジカメでしょうっ!?」

 まるで漫才の掛け合いの様な2人の周りには「何だ何だ?」と、地元民や観光客が集まり始めていて。

 それにいち早く気付いた匠海に、ヴィヴィはタクシーへと押し込まれたのだった。




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