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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第10章     

「だから、もう絶対に、こんな事で謝ったりなんかするんじゃないよ?」

 「め」と幼児に言い聞かすように、瞳に力を込めてくる兄は、やっぱり素敵で可愛かった。

「うん……あの……」

「ん?」

「……来てくれて、ありがとう。大好き」

 ぎゅうと広い胸に縋り付けば、

「ああ、俺も大好きだよ。本当に、お疲れ様――」

 労りの言葉と共に抱き込まれた暖かな胸に、

 ヴィヴィはようやく、安堵の吐息を漏らしたのだった。
 





「2週間後には、日本で会えるよ」

 パリ北駅まで送ってくれた匠海。

「うん」

 素直に頷いたヴィヴィの表情は晴れやかだった。

 これからパリ発 19時の航空機に搭乗する兄は、(日本時間の)明日の15時には羽田に到着するらしい。

「次に会うときは、真ん丸になってて?」

「やっ やだもんっ」

 思わず風船の様に膨らんだ自分を想像したヴィヴィは、思わず抵抗してしまった。

「あはは。じゃあな?」

 ヴィヴィは発車間近の、白地に黄色のラインが鮮やかなユーロスターに乗り込み、大きく頷く。

「またね?」

 そう答えた途端、高速列車の扉は締まり。

 笑顔で手を振ってくれた匠海の姿は、すぐに見えなくなった。

 その途端 胸を締め付けたのは、途轍もない寂しさと、幾ばくかの虚しさ。

「………………」

 薄い唇から ふっと息を吐き、これから2時間15分を過ごす自分の座席へと歩を向ける。



 うん。

 同じ轍は二度と踏まない。
 
 来年、大学3年の自分は、

 GPファイナルで また同じ状況になるだろうが、

 その時に同じ失敗を繰り返さねば良い。

 ただ、それだけの事だったのだ。






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