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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第2章    

 5月、撮影で使ったオフホワイトのノースリーブ・ワンピは、気に入って買い取ったそれ。

 クールネックで、胸上で切り返しのあるそれは、ストンとしたシルエットで着やすく。

 膝上も10cmと、持って来た服の中では、まだ裾が長いほうだった。

 ラベンダー色のストールで、露出した二の腕を隠したヴィヴィは、肩を落としながら部屋を出た。

 2階の廊下を進み、階段へと続く踊り場まで辿り着いた時、

 扉の開閉音がして、ヴィヴィはそちらにふっと視線をやり――固まった。

「………………」

 色味を抑えた細身のベージュ・スーツ。

 その胸元を彩るネイビーのシャツと、ポケットチーフ。
 
 それらを完璧に着こなした匠海が、視線の先に立っていて。

 化粧も何もしていない薄い唇が、呆けた様に弛緩する。

(……な……なんで……?)

 ヴィヴィの、その疑問の理由とは――

 ここオーウェン邸は、3階建てで。

 1階は、皆が集うリビング等のスペースに、増築された祖父母の部屋。

 2階は、いつも3兄妹に割り振られていた、コンパクトめの客室が連なり。

 3階は、両親も滞在する広めの客室、それが2つ――という構造で。

 てっきり、匠海夫婦は3階の広い客室に泊まると思っていたヴィヴィは、

 まさか自分の隣の部屋から、兄が出て来るとは思いもせず。

「ヴィヴィ?」

 困惑したまま立ち尽くす妹に対し、匠海は普段と変わらぬ様子で。

 長過ぎる脚を運ばせ、自分の傍に寄って来る兄に、途端に薄い胸がざわつき始めた。

「ふ……、お前は本当に、白が似合うね」

 コツリ、コツリ。

 焦茶の革靴が踏み締める音に被さる、匠海の少し低めの声音。

 今すぐ、兄の灰色の瞳の中から逃れたいのに。

 もう一生、兄の顔も姿も目にしたくなど無いのに。

 自分の目の前で立ち止ったその人に、ヴィヴィの身体は蛇に睨まれた蛙状態で、階段の手前に硬直していた。

「ヴィヴィの纏う清純な雰囲気……。白が一番 魅き立たせてくれるな」

 そう囁かれる声は甘さを含んでいて。

 20cm差から見下ろされる瞳は、心底 慈しむもので。

 目の前の匠海の逞しい身体から滲み出る、途轍もない上質な男の色香に、白く小さな顔がくしゃりと歪む。

(や……だ……。嫌……だ……っ)

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