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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第11章        

「ヴィ……ク、トリ、ァ……っっ」

 歯を食い縛りながら、咽喉奥で呻く匠海。

 その両の掌が真っ白な尻を押さえ付け、下からは腰を高く上げられて。

 全く逃げ場無く、奥を突かれながら びゅくびゅくと叩き付けられた、暖かなもの。

 生理的な恐怖に怯え、思わず細い背を丸めたものの。

 それは何の逃げにもならず、大きな瞳からは ただただ熱い涙が溢れ落ちていた。

「……っく、……ひっく……、うぅ……っ」

 しんと静まり返った寝室に落ちた唯一の音は、微かな嗚咽。

 逞しい胸の上、両手で口元を抑えながら震える女に、

「……俺に抱かれるの、そんなに嫌……?」

 意味不明な問いを寄越した男の声は、若干 苛立ちを滲ませていた。

「……ふ……ぇ……?」

(……? 嫌……って、な、何が……?)

 涙の粒を纏った長い睫毛が、不思議そうに瞬けば。

「だって、苦しそうに泣いてるから……」

 何だか拗ねている様にも聞こえる声音で、下から言い募ってくる自分の兄。



 まあ、確かに “苦しい”。

 やはり匠海のそれは、自分にはちょっと大き過ぎるのだ。



(だ、だってぇ~~っ)

「い……、いっぱい、なんだもん……っ」

 「待って」と散々言ったのに、少しも待って貰えなかったこっちだって「拗ねたいやい」と、

 言外に滲ませながら、薔薇色に色付いた頬を膨らませるも。

「一杯……? 嘘だ。こんなのじゃ、足りないくせに」

 何故か そう突き放してくる男。

「……っ!? そ、そんな、こと……」

(充分、足りてますけど……っ!? ちょっと休憩させて欲しいくらいなのに)

 思わず言い返そうとしたヴィヴィの腰を、軽々持ち上げた匠海。

 長いものが ずるりと抜き取られる生々しい感触に、思わず甘い声を漏らしてしまった。

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