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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第11章
2週間前にも、
『確かに「怒ってはいない」けれど「嫉妬」はしている。
お前の傍にずっといられる男達に……。
もちろん、クリスや朝比奈にも』
等と、度を越したヤキモチを焼いてくれた自分の兄。
今回は思い当たる節のないヴィヴィは、困った様に眉をハの字にしていると、
答えは目の前の男から与えられた。
「あの、長髪野郎っ 調子に乗って、ヴィクトリアにベタベタしやがって!」
「………………」
大きな瞳を ぱちくりとさせたヴィヴィ。
一瞬、誰の事だか判らなかったが。
自分の知る “長髪野郎” なんて、ただ一人――元・楽器講師しか思い浮かばず。
「…………ふふ」
ふと漏れてしまった笑い声に、
「笑うな!」
匠海は不服そうに命令してくるが、そんなの全然怖くも何とも無い。
「ふふ。だ、だってぇ~~」
(もう、お兄ちゃんったら、ホント可愛いなあ~~♡)
本日のエキシビで、軽く腰を抱かれた事なんて、当の昔に記憶の彼方に追いやっていたのに。
そんな他愛も無い事にさえ、過敏に嫉妬してくれる匠海は、もう本当に可愛くて。
しばらく笑いが止まらず、暖かな抱擁の中でニヤニヤしてしまった。
流石に このままでは格好が付かないと思ったのか。
妹を後ろから抱き込んだまま、躰を起こした兄。
ガラスに映りこんだヴィヴィに、事実を確認し合う様に問い掛けてきた。
「誰のが、挿ってる?」
「ん……。おにぃちゃん……」
幸せそうに薄い腹を撫でたヴィヴィに、匠海の表情は少し軟化した。
「この愛くるしい、ちょっとエッチなヴィクトリアは、誰のもの?」
細い顎を指先で擽られて。
瞳を細めたヴィヴィは、迷い無く発していた。
「ふふ、お兄ちゃんの、だよ……?」
そう。
自分はこの世に産み落とされたその時から、
ずっと “匠海だけのもの” だった。
その証拠に、
この瞳が映してきたのはいつも、
目の前の兄だけ――