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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第11章        



 翌日――12月25日(月)



 6時の始発で名古屋から東京へ戻った双子は、朝から各局の情報番組・ニュース番組に生出演し。

 合間には新聞・雑誌の取材と、スポーツ番組の収録――等々、目の回る忙しさだった。

 クリスに対する質問で多かったのは、

「表彰台の頂点を決して明け渡す事の無い その類稀なる強さと精神力の秘訣」

「国籍の選択問題」

――で。

 ヴィヴィに対する質問は、

「GPファイナル2023 で僅か0.21の得点差で ヴィヴィアン・リー(USA)に敗れた心情」

「それらを受け、世界選手権2024 での直接対決に向けての意気込み」

――といったものだった。

 それらに にこやかに答えたヴィヴィは、

「世界選手権では身体も心も整えて万全の状態で臨み、自分の納得の出来る演技で今シーズンを締め括りたいです」

 そう、どの番組でも決意を顕わにしたのだった。



 一方、双子が名古屋を離れた30分後。

 東京へと戻る新幹線に乗った匠海は、そのまま会社へと直行したらしく。

 昼頃になって、ヴィヴィ宛に1通のメールが届けられた。



『俺の可愛いKitty 

 身体は大丈夫かな?

 今 テレビをつければ

 笑顔のヴィヴィに沢山会えるのだろうね

 後で録画を観て元気貰おう』



 妹の身体を気遣いつつ、そんな甘々な言葉をくれる兄に、スマホに見入る小さな顔は緩みきり。



『ところで

 今夜 松濤に泊まるんだ
 
 少しでも一緒に過ごせると嬉しい

 じゃあ午後も頑張って』



 続いたその文面に、薄い唇からは思わず「くふん♡」と、気持ち悪い声が漏れてしまった。
 
 周りには誰も居ないのは確認済みの上で、だ――もちろん。

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