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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第11章
双子の兄は12月19日に。
ヴィヴィは翌日に日本へと帰国したが、諸事情により僅か8日間の滞在で渡英しなければならなかった。
なので、匠海と少しでも一緒に過ごせる時間が増えるのは、物凄く喜ばしい事で。
手早く兄へ返信し、バックにスマホを戻したヴィヴィは、
「うっしゃっ! 頑張るぞ~~っ」
そんな気合の声を上げ、次の現場へと向かったのだった。
19時を回った頃、松濤の篠宮邸に帰宅した双子は、玄関ホールで両親から手厚い抱擁で迎えられ。
リビングルームへと向かえば、
「びびっ」
舌っ足らずな声を上げながら突進してきた甥の匠斗にも、熱烈なハグを受けた。
「わあ、匠斗 来てたの~!? メリークリスマス~」
1歳4ヶ月に成長した匠斗は身長80cmにもなり、抱き上げればだいぶ重かった。
ライトグレーのタンクワンピを纏ったヴィヴィに短い両腕を伸ばし、必死に縋り付いてくるさまは本当に可愛らしく。
表情も豊かになり「にゃは」と表現するしかない笑顔につられ、こちらまで笑顔になってしまう。
けれど、
「お帰りなさい、クリス君、ヴィヴィちゃん」
落ち着いた、けれど嬉しさを滲ませた声で出迎えてくれたのは、
その子の母親――義姉の瞳子だった。
「お姉さん……。ただ今、戻りました……」
軽くハグを交わすクリスと瞳子に続き、匠斗を抱っこしたヴィヴィも、そのまま義姉と再会のハグを交わした。
「ご無沙汰していました、瞳子さん」
両親と双子、そして義姉と甥は、ソファーへと落ち着き。
執事が振る舞う食前酒や茶を各々楽しみながら、近況を報告しあっていた。
3ヶ月ぶりに目にした瞳子は、変わらぬ美しさを誇り。
ホワイトクリスマスを意識してか、オフホワイトのセットアップの襟元を、鮮やかな大判スカーフと真珠のネックレスで彩り。
柔らかく巻かれた黒髪が、彼女をより たおやかに見せいていた。