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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第11章
家族思いの嫁に いたく感動したらしい父・グレコリーは、両手を叩き。
「おお、それは凄いね! でも、どうして「りす」なのかな?」
その当然の疑問に、皆からの視線を集めた瞳子は、オフホワイトの肩を竦めてみせた。
「匠斗ったら、どう頑張っても「クリス」君とは、覚えてくれなくて。ごめんなさいね?」
苦笑しながら謝った義姉に、甥を抱きかかえたまま腰を上げたクリスは、
「……お姉さん……。グッジョブ!」
そんな感激のセリフと共に右手を差し出し、瞳子と熱い握手を交わしていたのだった。
ジュリアン「匠斗~“グランマ” は~?」
匠斗「ぐっ」
グレコリー「“グランパ” はどうかな~? 匠斗~?」
匠斗「……ぐ?」
双子「「一緒じゃん……」」
匠海の帰宅時間が遅くなるとの連絡を受け、ダイニングルームへと移動した大人5名。
クリスマスディナーの祝いの席を囲いながらも、皆が ちびっこギャング――匠斗の様子に瞳を細めていた。
もう夕食は摂らせたらしく、初めは大人しくジュースを飲んでいたのだが。
それもすぐに飽きたらしく、五十嵐に強請って幼児用の椅子から降ろして貰うと、各人のところへ寄って行っては構って貰い。
そして、しっかりした足取りで、広いダイニングをパタパタ行き来していた。
「匠斗。走っちゃダメよ」
母親の窘める声に、ぴたりと あんよを停めても。
その10秒後には、何事も無かったように走り廻る匠斗。
「あはは、元気だねえ。匠斗~おいで、グランパが抱っこしてあげよう」
椅子から身を乗り出し両腕を伸ばしたグレコリーに、嬉しそうに寄って行くも。
何故か祖父の前を素通りし、その隣のヴィヴィの元へとやって来たかと思うと、器用に椅子をよじ登り始め。
驚いたヴィヴィが抱き上げてやると、しばらくはタンクワンピの首元にあしらわれた大ぶりのビジューに興味を示していた。