この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第11章
この愛おしい存在が、
また1人、増えるだけ。
ただ、それだけ――
それ以上でも無く、
それ以下でも無い。
だから、
今 自分が覚えている、
突如 天地を引っ繰り返されたかの如き驚愕と失望。
そして、
紛う事無き この敗北感は、
紛い物の感情――なのだ。
錯覚――なのだ。
そう己へ必死に言い聞かせたヴィヴィは、奥歯を噛み締め。
大きく一つ瞬きすると、ようやく顔を上げた。
そして、
こちらに柔らかな瞳を寄越した兄嫁に、
精一杯の微笑みを向けたのだ。
「瞳子さん、おめでとうございます。
本当に、良かったですね――」