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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第12章
12月26日(火)
5時起きで松濤のリンクへ向かった双子は、2時間で練習を切り上げ。
午前中はスポンサーの日本国際航空の、新規就航便のPRに参加し。
双子の写真でラッピングされた機体に度肝を抜かれつつ、PRイベントを盛り上げた。
続いて午後からは、スポンサーの日新食品グループのCM撮りに参加していた。
製品の素朴感を生かしたカントリーファッションに身を包んだ双子が、メイク室から撮影セットのあるスタジオへ移動すれば、
「はい、皆さんご紹介します。ご出演の篠宮 クリスさん ヴィクトリアさんです~。宜しくお願いしま~す」
スタッフの紹介に、礼儀正しく「「宜しくお願いします」」と挨拶した双子を、ずっと1台のテレビカメラが追っていた。
事前に「CMメイキング映像もスポンサーHPで公開する」との説明を受けていて。
クラッシックな麦わら帽子の下、金の髪を おさげにしたヴィヴィは、さっそくおちゃらけた様子でカメラに手を振っていた。
ロングセラーの「ごろっと果肉のグラノーラ」をリニューアルしたCM撮りは、半日という限られた時間で、
歌の録音・リハ・本番と滞りなく進んでいた。
2パターン撮影する為の、セット変更待ちの間。
控室に通された双子は、広報宣伝部の社員から幾つかの質問を受ける事になった。
「ヴィヴィちゃんなら、グラノーラに どんな果肉を入れたいですか?」
「ん~~、アボカドとか? あ、芽キャベツとかも可愛いかも!」
パイプ椅子に浅く腰掛け、自分の案に灰色の瞳を輝かす妹に、
「それ、果肉というより、野菜じゃない……?」
ツイードのニッカポッカにハンチング帽という可愛らしい姿のクリスが、微妙そうに首を傾げていた。
「そう~? じゃあ~、マンゴスチンは?」
「マンゴスチンは果物の女王ですからね。さすがヴィヴィちゃん、氷の女王!」
そんな恥ずかしいヨイショをしてくれた社員に、ヴィヴィは「え? あはは~」と笑って誤魔化すしかない。