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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第12章      

 その後、2階の私室に上がったヴィヴィは、不在時に届けられた手紙や書類に目を通し。

 大量に贈られてきたクリスマスカード・お歳暮のリスト等も、確認していたのだが、

「あ゛……しくじった……」

 リストを手にしていた主が上げた、バツの悪そうな呟きに、

「どうされました?」

 荷物を片してくれていた朝比奈が腰を上げ、ひょいと横からリストを覗き込む。

「うん……。瞳子さん、妊娠中なのに……、お歳暮にお酒 贈っちゃったねぇ」

「え……? それは存じ上げませんでした。申し訳ありません」

 中元や歳暮を贈る相手は多い為、その選別は執事に丸投げで。

 己の不手際をすぐに謝罪する朝比奈を、ヴィヴィは柔らかい声で宥めた。

「ううん。皆が知ったのも、クリスマスだったもの。知らなくて当然だよ」

 他にも気になる相手に対する注意書きを、リストに書き添えていく主に、

「お任せ頂ければ、代わりの物をお贈りしておきます」

 そう申し出た朝比奈に、ヴィヴィは微笑みながら全ての書類を預けた。

「うん、お願い。ごめんね? 手間取らせてしまって」

「滅相もございません」

 いつも勉強しているデスクの傍。

 受け取った書類を ぱらぱらと確認する執事の横、

 ヴィヴィは ここ数日 貯めてしまっていたメッセージに、スマホで返信していたのだが。

 案の定、その差出人リストの中には、今は目にもしたくない男の名がパラパラと見受けられた。

「………………」

 細い指で液晶を辿り、連絡先リストから実兄の名を選び出し、タップする。

 その動作には一切の迷いは無く、見下ろす瞳もいつもと変わりない。



『着信拒否設定リストに登録した人からの電話、
 メッセージ、Face Timeは今後 着信しません。
 よろしいですか?』



 そんな注意書きを確認し、瞬時に押した登録ボタン。

(もっと早くに、こうすれば良かったんだ……)


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