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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第12章      



 自分も日々の生活の中で躓く事もあれば、立ち止まり後退してしまう事もある。

 でも、滑り続ける事で見えてくるもの、戦い続ける事で手にするものも ある筈。

 そんな自分の想いも、イタリアの皆さんと共有出来ればと、

 この記念すべき2024年の初滑りに、タンゴをお届けしようと思いました。


 篠宮のこの言葉通り、トリノ・パラベラ競技場の8000超の観客は、

 新たな年を彩る女王の、魔法の如きスケートに魅了された氷上の新年を迎えるに至った。


―――――



 ショーの翌日。

 英国へと戻る機内で その記事を目にしたヴィヴィは、

 溌剌とした表情で滑る自分の写真を、細い指先でそっとなぞった。

「………………」

(……別人……みたい……)

 カメラを通して観る自分。

 ファインダー越しに映る自分。

 それは確かに自分自身なのに、今ここにある己との乖離が酷くて、

 どの自分が本物なのか、時折 解からなくなる。

 にっこりと微笑む、その頭の中では、

「早く、シーズン終わればいいのに……。休みたい……」

 疲労を滲ませた弱音を零し。

 屈託無く取材や撮影に応じる、その胸の内では、

「本当は……本当は、そんなんじゃないの……」

 己の発した言葉を、力無く否定していた。



 ヴィヴィが初滑りにタンゴを選んだ理由。

 その真意は、タンゴのルーツにあった。

 タンゴとは、戦時中 男性が女性の死体を抱きかかえ、

 あたかも生きているかの様に躍らせる、哀しみに暮れた愛のダンス。

 女性が激しく首を振るアクション。

 それはまさに “死体を揺すっている”――そこから来た振付だとも言われている。



――――
※タンゴのルーツ:諸説あるので上記が正解では無いです。あしからず(^^;)ゞ
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