この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第12章      

 フォルテ(強く) と ピアノ(弱く)。

 狭いポジション と 広いポジション。

 スタッカート(音を短く切って) と レガート(音を滑らかに繋いで)。

 様々な要素を(上掲の様に)相反する対象で捉える事により、一つ一つのテクニック効果を意識させるように作られたエチュード。

(はぁ……。今みたいな雑なタッチだと、確実に止められただろうな……)

 前のめりに譜面を覗き込みながら、赤ペンで気になる場所をチェックしていけば。

(ここも……。ああ、ここも、運指 間違ってた……)

 全然「やってやったぜ!!」じゃなかった と細い肩を竦めながら、赤ペンのキャップを閉じる。

 恐ろしく耳の良い長兄は、どんなに速く高度な難曲でも きちんと聴き分け、的確に指摘してくるから。

 そんな時の匠海の苦笑いを思い浮かべ、ふっと緩んだ口元。

 しかし、数秒後。

 カラン……。

 譜面台に滑り落ちた、赤ペンの軽い音。

 そして、

 バツが悪そうに歪められた灰色の瞳。

「………………」

 しばしの沈黙の後、空気を変える様に大きく吐き出された深い息。

 背凭れの無い長椅子の上、ぐるりと金の頭を回し。

 気持ちを入れ替えて、再度、漆黒の打弦楽器に向かった。

 目の前に広がる長い鍵盤。

 その左端――低音域に細い両掌を添え。

 深呼吸を一つ。

 そうして防音室に響き始めた低音は、野太さとゴツさを誇っていた。


 フランツ・リスト作曲

『ピアノ独奏・死の舞踏(「怒りの日」によるパラフレーズ)』



―――――
※リスト「死の舞踏」:元はピアノ独奏を伴う管弦楽曲
https://www.youtube.com/watch?v=MVzmw9nGLGc
「ソ-ファ-ソ-ミ-ファ-レ-ミ- ソ-ソラソファミレ ファ-ソ-ファ-ミー」て聞いた事あるかも

ちなみに双子PGで滑ったのは、サン=サーンスの「死の舞踏」
木琴が骸骨音を奏でるやつでしたね~懐かし
/1163ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ