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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第12章      


『There may come a time
 ―いつか若い娘にも

 When a lass needs a lawyer
 ―弁護士が必要な時が来るかも

 But diamonds are a girl's best friend
 ―そんな時、ダイヤモンドは女子の最良の友よ』


 2番の歌詞に合わせ、助走に入り。


『There may come a time
 ―いつか こんなことが起こるかも

 When a hard boiled employer
 ―ハードボイルドな雇い主が

 Thinks you're awful nice
 ―貴女を気に入る時が来るかもしれない

 But get that ice or else no dice
 ―でも、そのダイヤを掴まないと もうチャンスはないわ』


 3回転ルッツを着氷したその脚で、くるくるとツイズルを回り。

 そして間髪入れずに3回転サルコウを飛び上れば、試合ではお目に掛かれぬ離れ業に拍手が沸き起こる。


『He's your guy when stocks are high
 ―彼は貴女の男 株価が高い間はね

 But beware when they start to descend
 ―でもいつ株が暴落するか判らないから用心なさい』


 脚を前後に開き、トウを180度開いて真横に滑りつつ、

 拗ねた様に顎の前、両の人差し指をくるくる回し。

 徐々に背を後ろに倒し、イナバウアーを披露する。
 

『It's then that those louses
 ―そうなったら あのろくでもない奴らは

 Go back to their spouses
 ―配偶者の元に帰ってしまうの

 Diamonds are a girl's best friend
 ―ダイヤモンドが女子の最高の友なのよ』


 フライングから入った、シットスピン。

 トウと足首に添えていた両手を離し、フリーレッグを横へ横へと開いていけば、ブロークン・レッグ・スピンへ。

 その後――

 アメリカ国歌の一節を、腰に手を当てて闊歩したヴィヴィは、

 3番の歌詞は、3回転フリップやステップをしつつ、客席も弄って盛り上げた。
 
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