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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第12章      



 ていうか、余計に苦手になったわ。

 てか、神様~~、あまりにも不公平すぎやしませんかぁ?

 こんなに(無駄に)見目良くて、頭の出来(お勉強脳に限る)も一流で、

 その上、富豪だなんてっっ

 何もかも持っている人間をこの世に生み出すなんて、不公平すぎですよぉ~~っ!!!!!



「って事で。ヴィー、お茶しに行こう~。で、どのダイヤを婚約指輪にするか、一緒にデザイン考えよう!」

「………………」

 勝手に一人で話を進めていくフィリップに、ヴィヴィはもう無視を決め込むことにした。

 回れ右をし、屋敷の右奥に位置するライブラリーへとスタスタ向かう背を、当然フィリップは追い駆けてくる

「ヴィー、無視はイヤだって~」

「…………。私、忙しいの」

「忙しいのに、わざわざ戻って来たの?」

「~~~っ 14時からJCR(ジュニア談話室)でディベートするから、それの下調べに戻っただけなの!」

 なのに、この王子のせいで貴重な時間が台無しになってしまった。

 ライブラリーの書棚から、背伸びして目的の書物を引っ張り出すヴィヴィに、

「へ~~、今日のテーマは何?」

 学術的興味はあるのか、少しだけ真面目な声で問うてくるフィリップ。

「『Benevolent Dictatorship(優しい独裁者)と民主主義では どちらが優れているか?』を、PPE各々の観点から考察……だけど?」

 振り向きもせず答えたヴィヴィの背後、王子は何故か「はっ」と鼻白んだ。

「ああ、そんなの、どの観点から見てもBDの方が優れてるに決まってるじゃないか。さあ、結論は出たから出かけよう!」

「……~~っ!? 勝手に人の意見を決めつけるな~~、このエセ王子めっ!!」

 背後を振り返り喚いたヴィヴィは、今度こそフィリップを振り切ろうと駆け足で廊下を駆け抜け。

「ヴィ~~っ My sweet Babe! Come back~~っ!!」

 阿呆な王子の懇願を絶好の追い風に、カレッジへの通学路を小走りで戻って行く。


――――
※Benevolent Dictatorship:独裁政治だが人民の為を思い行動する独裁者
 PPE:哲学、政治及び経済学
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