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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第2章    

 7月31日(月)。

 ロンドンのオーウェン家と別れを告げた篠宮御一行様は、空路にてエディンバラへと移動し。

 母の生家・ワイアット邸へと辿り着いた。

 その足で、いつも世話になっているリンクへと向かった双子。

 互いにSP・FSの通しをiPadで撮影し合い。

 動画データをシェーンコーチへと送信するのが、ここ1ヶ月の習慣となっていた。

「クリス……。いい加減、シェーンコーチに指導受けたいよ……」

 ヴィヴィは小さく嘆息しながら、そう本音を零す。

 6月30日~7月24日頃まで、双子はショーに出演するために日本に帰国していた。

 やっとオックスフォードに帰り着いて、これから腰を据えてショーン・ニックス直々の指導が受けられると思ったのに。

 そんな矢先に母に拉致られた為、双子はこうして動画やSkypeを駆使し、コーチから指導を仰がねばならなかった。

「確かに……。まあでも、後3日の辛抱だよ……」

「うん。そうだね」

 互いに慰め合った双子は、しぶしぶワイアット邸へと戻ったのだった。

 昼過ぎに帰り着いた屋敷は、なんだか賑やかで。

 部屋に荷物を片したヴィヴィは、皆が集まっているらしいサンルームへと足を向けた。

 日光が差し込む広いそこには、何故か女性ばかりが集まっていた。

「何してるの?」

 傍にいた1歳下の従妹メリッサに、不思議そうに問えば、

「あ、ヴィヴィもしようよ~。和風フラワーアレンジメント!」

 メリッサの言う通り、各人の前には花器や様々な花や葉が並べられていて。

「え? 和風……?」

「講師はもちろん、瞳子よ~」

 奥にいた同い年の従姉のサラが、腰から下のカフェ・エプロンをした瞳子に、手を向けていた。

 兄の妻である瞳子は、草月流の師範代でもある新進気鋭のフラワーアーティスト。

 そんな彼女直々に指導を受けられる機会とあって、皆の嬉しそうな様子がひしひし伝わってきた。

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