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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第2章
「おかえりなさい、ヴィヴィちゃん。良ければ一緒にやってみない?」
「あ、は、はい……。ん……、でも私、絵画とか彫刻とか、そういう才能、皆無に等しいんですが……」
一応頷きはしたものの、いつも周りに「独創的(ヘタ)過ぎる」と言われる自分の美術系の才能の無さに、途端にしょぼくれたヴィヴィ。
「大丈夫よ。絵を描くのとは全然違うわ」
手招きされ、空いているテーブルのスペースに呼ばれたヴィヴィの前に、スクエア型の黒い花器が置かれた。
「本当に何でもいいの。自分の思った通りに、ここに挿してみて?」
「思った通り……?」
おずおずと問い返すヴィヴィに、
「ええ、何を使ってもいいわ」
瞳子は傍にある薔薇やアジサイ、夏らしい向日葵……と、手に取って見せてくる。
「……何を、使っても……いい……?」
ヴィヴィはそう呟いたのち、薄い胸の前で腕組みをし「う~~ん」と数分唸っていた。
が、急に何かを思い付いた様に、サンルームを出て行く。
そして何故か厨房へと直行し、目的の物を分けて貰って戻って来たかと思えば。
枝葉を落とした緑の大きな蕾状のものを剣山にぶっ刺し、その隣にコロンと赤いものを転ばせ。
数歩下がって、また「う~~ん」と腕組みしたのち、近くにあったグリーンを手に取り花器の周りに巻き付けた。
「出来た……」
実質たった2分で完成させてしまったヴィヴィに、気付いたサラが傍に寄って来る。
「ヴィヴィ、これ、何を表現してるの?」
サラが不思議そうに首を捻るのもしようが無い。
黒くスクエアな花器からにょきりと伸びるのは、40cmの高さを誇る青々としたアーティチョーク。
傍には何故か、プチトマトが1粒転がっており。
花器の周りには、グリーンネックレスや蔦性の緑の葉が絡まっていた。
「……宇宙(アーティチョーク)……の、無限さを測ろうとしてる……、身の程知らずの、ミジンコ(プチトマト)……」
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※アーティチョーク(朝鮮アザミ):花が咲く前の10cm大のつぼみを蒸してガクの下の部分を食べる