この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第2章    

 なるほど、ヴィヴィの言う通り、

 10cm程の拳大の丸いつぼみを持つアーティチョークは、まるで宙に浮く惑星に “見えなくも無い”。

「この周りのは?」

 隣で慎重に花を活けていた叔母が、蔦を指さしながら尋ねてくる。

「これは……、世の中にはびこる、有象無象……」

 そうしたり顔で頷くヴィヴィに、周りの従姉妹達がおかしそうに笑い出した。

「あら、面白い。ちょっと奔放な感じも、ヴィヴィちゃんらしくて、とても素敵」

 傍に寄って来た瞳子が、色んな角度からヴィヴィの活けたフラワーアレンジメント(?)を鑑賞してくれて。

 その際、瞳子から馨ってきた控え目な香水の香りに、ヴィヴィの灰色の瞳がぱちぱちと瞬いた。

「瞳子、私のは~?」

 活け終えたサラが瞳子を手招きすれば、

「うん、サラちゃんのは、包容力いっぱいって感じね? 素敵だわ」

 茶色の瞳を細めて微笑む瞳子に、サラが胸の前で両指を組んで喜ぶ。

「やった~♡ 女はやっぱり包容力よね~?」

 他の親族の出来栄えも、それぞれの美点を褒めつつ、アドバイスを加えながら少しの手直しを施し。

 そして必ず、「素敵」と賞する瞳子に、

「 “素敵” なのは、瞳子さんです……」

 そう真顔で義姉を見つめたヴィヴィに、瞳子が照れた様に頬を両手で包み込む。

「まあ……。こんな綺麗な子に “素敵” って言われてしまったわ!」

 手放しで喜ぶその様子も、やはり27歳の女性相応の上品な仕草だった。

 大きな灰色の瞳が、羨望の眼差しでその様子を見つめていた。

 本当に素敵だから――この人は。

 美しく分け隔ての無い微笑み。

 そつのない身のこなし。

 上品でウィットに富んだ会話。

 瞳子と話をしていると、まるで自分が素晴らしい人間の様に思えてしまう、その話術と心配り。

 彼女こそ、素敵な女性の見本のような人。

 まさに、兄に愛されるに相応しい。

 その一身に匠海に愛情を受けるに足る人間。

「………………」

 薄っぺらいだけしか能がない胸が、剣山を押し当てられたかの様な、じくじくとした痛みを訴えていた。

(この人はどんなふうに、お兄ちゃんを受け止めているのだろう……)

/1163ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ