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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第13章      

 幼馴染の自宅――駐日英国大使公邸は、BST初等部から出入りしているヴィヴィにとっては、馴染みのあるホッと出来る場所で。

 カレンと久しぶりに再会したヴィヴィは、4月9日(火)~11日(木)は公邸に逗留させて貰い。

 スケートに関しては、東大在籍時から世話になっている高田馬場シチズン・スケートリンクにて、早朝・夜間の調整を行っていた。

 続く4月12日(金)~14日(日)は、真行寺邸へ世話になることも決まっており。

 その結果、3月28日(木)から日本へ帰国しているヴィヴィは、

 今週末迄の18日間は、松濤の屋敷とホームリンクには徹底的に近付かないスケジュールを立てていた。

(まあ、来週頭からは、どうしても松濤のリンクには行かないと、なんだけど……)

 来週4月15日(月)~18日(木)の4日間で、双子は宮田の振付を受けることになっており。

 流石に「自分だけ高田馬場で振付を受けたい」等と、我儘を言う訳にはいかなかったのだ。





 4月12日(金)

 高田馬場のリンクを出た頃には、時刻はもう23時を回っていた。

 今日から世話になる真行寺家には「遅くなるので皆さんにはお休みになって貰ってね」と、マドカを通じてお願いしてあり。

 普段の生活に必要な物だけを詰め込んだ、大きなスーツケースをゴロゴロ転がしたヴィヴィは、守衛に挨拶をして裏口から外に出た。

 少し歩けば、すぐに早稲田通りに出て。

 そこで流しているタクシーを捕まえれば、大荷物でも田園調布にある真行寺邸に楽に辿り着ける。

「ふふ……。なんか、流浪の民、みたい……」

 薄い唇から、思わず零れ落ちた自嘲。

 あちらへフラフラ、こちらへフラフラ。

 己の地元に戻って来たにも関わらず、実家や古巣にさえ普通の顔をして戻れない。

 もちろん、その起因は自分にあるので、ただただ諦め、現状を受け入れるしか無いのだけれども。

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