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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第13章
「……だから……言った、のに……っ」
自分はちゃんと言ったのだ。
『私のセフレにしてあげる』
――と。
あの時、意地を張らずに了承してくれれば良かったのだ。
どれだけ悩んでも兄の心を推し測っても、もう自分の理解の範疇を超えるところに、匠海の意思はあるのかも知れない。
籠城を決め込む様にバスルームに立て籠もっていても、結局のところ最後には、
妹の弱みを握っている兄の思い通りに、事が運ぶのは間違いなくて。
もう……どうでもいい……。
もう、好きにすればいい……。
諦めや達観とは異なる、半ばやけっぱちな気分でそう強引に結論付けたヴィヴィは、
頭を抱えていた両腕を緩め、水面に叩き付けると。
まだどこも洗っていなかった身体を清めるため、湯から上がったのだった。