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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第13章
『ん~~、でも、ネコは勝手に1階まで下りちゃうし。ヴィヴィが猫を抱っこした服でマムとハグするだけで、マムは「はくしゅん」止まらなくなるんだよ?』
『……そ、なの……?』
物知りな兄からもたらされた情報に、大きな瞳がきょとんとする。
ジュリアンのネコアレルギーが重傷なことは、ヴィヴィだって知ってはいた。
くしゃみはもちろん、目は真っ赤に充血し、痒みと涙で目が開けられなくなり。
鼻閉に鼻汁、咽喉はイガイガして痛いらしいのだ。
『そうだよ。マムは毎日しんどいよね? そうなったらヴィヴィ、どう思う?』
『……っ やだぁ~~……』
『ん? やだ?』
『マム……、かわいそう……』
我が儘だけれど、甘ったれだけれど、
幼いヴィヴィはちゃんと、周りの人間の気持ちを考えられるだけの思いやりの心は備えていた。
『あはは、そうだね。優しいね、ヴィヴィは』
隣の幼女を褒めながら ひょいと抱え上げた匠海は、己の細長い両脚の間に立たせ、
『それに僕にとっては、ヴィヴィもクリスもネコみたいに可愛いから、毎日楽しくて充分だけどね』
そう言って凹凸の少ない顔を覗き込む様子は、いつもの劇甘の “おにいちゃま” だった。
『ヴィヴィ、かわい~~?』
『うん。今日のビキニも似合ってるよ。白ネコもしくは白ウサギって感じだね』
膨らみもくびれも皆無な幼女の身体に纏った、フリルの愛らしい純白のビキニの上下。
それをにっこりと褒め称えた兄に、妹は「にゃはあ」としか形容しようの無い笑顔を浮かべた。
しかし、それも一瞬のこと。
『あれえ~~?』と間延びした声を上げたヴィヴィは、愛らしく金の頭をこてんと倒す。
『でも おにいちゃまは、ヴィヴィとクリスが にゃんこ代わりでしょ~~?』
『そうだね』
『じゃあ、ヴィヴィ達は~~?』
『え?』
『ヴィヴィはにゃんこ 飼えないのに、おにいちゃまだけずるぃ~~』