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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第2章    

 その後、ルルはシェーン博士の息子・アルヴァの手掛ける舞台に踊り子として出演するが、そこにシェーン博士と婚約者が観に来る。

 2人を見て失神し、楽屋に運ばれたルルは、駆け付けたシェーン博士に言い寄る。


シェーン博士『よくも、俺に当てつけて、あんな芝居をしたもんだなっ!? さあ、舞台に戻って踊れ!』

ルル『いや……っ いやよ! 出来ないわ。あなたのお嫁さんの前で踊るだなんて!』

博士『俺の嫁の前でも踊るんだ!』

ルル『あたしがどんな身分かということを解らせたくて、お嫁さんの前で踊らせたいって訳ね? 何故、気を失ったままにさせておいてくれなかったのよっ』

博士『お前の気絶なんて、これっぽっちも信じられなかったからさ。お前の躰が丈夫なことなら、よく知っている』

ルル『ふう~ん……。そりゃあ、よく知っているでしょうねえ?』

博士『……――っ そんなに “あけすけ” に俺を見るな! 俺は今週中には結婚するんだ! その間に、顔なんか出すんじゃないぞ』

ルル『結婚しなさいよ……。そしたら、お嫁さんはあたしの前で “子どもっぽい嘆きのダンス” を踊ることになるでしょうよ。あたしが、お嫁さんの前で踊る代わりにね!』

 シェーン博士が拳を振り上げ、ルルを殴ろうとする。

博士『神よ、お許しを……っ』

ルル『ぶちなさいよっ!』

博士『……俺は、もう行くぞ……』

 拳を降ろしたシェーン博士はドアへと駆けて行くが、はっと思い当り、振り返る。

博士『だが、どこへだ……? 花嫁!? 家庭へか……っ!? ああ “この世界” から脱け出すことが出来れば……っ!』

ルル『よく解かったでしょ? つまり――』

博士『黙れっ!』

ルル『あたしと別れるには、弱すぎるのよ……。あなたって人はね――』

博士『おおっ おお! 苦しい……っ お前のせいだ!』

 シェーン博士がむせび泣く。

ルル『あらあら、泣いちゃって。強い男が泣くなんて! じゃあ、行きなさいよ……、お嫁さんの元へ』

博士『出来やしない……。今更、行けたものか……』

ルル『お行きなさいよ!』

博士『頼むから、教えてくれ……。俺はどうすりゃいいんだ……?』

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