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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第14章
「大体お嬢様は、小さな頃からお転婆が過ぎますよ! メイドのエプロンにカブトムシを忍ばせたかと思えば、2階からトランポリンに飛び降りようとしたり!」
篠宮の子供達の過去の悪行(?)を知り尽くす家令に、全く頭の上がらないヴィヴィは、
「ご、ごめんちゃ~~い……(´・ω・`)」
そう素直に謝りながら、すごすごと手すりに乗せていた片脚を下したのだった。
翌日も宮田の振付を受け、その次の日――4月19日(金)
午前中に今季のFSの全てを完成させたヴィヴィは、クリスやスタッフと共に都内某所のホテルの会議室にいた。
「ふわわ……」
眠そうに欠伸を零すヴィヴィの顔を、左隣に座ったクリスが心配そうに覗き込んでくる。
「大丈夫……? ずっとリンクに入り浸ってるから……、疲れ抜けてないんだよ……」
「ごめ~~ん、全然元気!」
「それで? 新たなエキシビの振付は……?」
大きな瞳から零れた涙を指先で拭う兄の問いに、妹はにっこりする。
「うん、お陰様で出来たよ~~」
火曜日から夜の自主練後にリンクを借り行っていた振付は、3日掛けて満足出来るものに仕上がった。
ただそのシワ寄せとして睡眠時間を削っていたので「大丈夫」と言った傍から、堪え切れない欠伸が零れてしまう。
「代々木のスタッフにはプログラム変更は伝え済みだから。2人とも会見終わったら、リハの為に会場に直行な?」
クリスを挟んだ隣に座していた牧野マネージャーの言葉に、双子は同時に頷いた。
4週間前:世界選手権 in スウェーデン
3週間前:STARS ON ICE in 愛知
2週間前:国別対抗選手権 in 埼玉
1週間前:ロケ旅行
明日・明後日:STARS ON ICE in 代々木
怒涛のスケジュールだった日本滞在。
それも後少しで終わりを迎えようとしていた。
そして本日、2人と日英フィギュア界にとって、大事な発表を行わねばならない。
紺色のスーツを纏った背をピンと伸ばし、きちんと椅子に座りなおしたと同時に、
ノックをして入室してきたのは、日本スケート連盟の重鎮達だった。