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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第14章
そう。
22歳に達するまで残り1ヶ月を切った双子には、決断しなければならぬ事があった。
次の誕生日を迎えるまでに、日英両国の国籍――そのどちらかを選択しなければならなかったのだ。
それぞれ挨拶を終え着席したメンバーを見れば、双子の選択結果は一目瞭然。
兄妹とも日本の国籍を選択し、今まで通り日本スケート連盟に在籍する。
その発表の為に、これからこのホテルに於いて記者会見を行う運びとなっている。
諸事項を説明され、こちらからの質問にも答えて貰い、問題無く合意に達した。
だがそう思ったのは、ヴィヴィだけだったようだ。
「それで、勿論 英国の国籍は捨てるのだろう?」
スケ連の副会長が寄越した確認に きょとんとした妹の隣、双子の兄は「いいえ」と即答したのだ。
(だ……だよ、ねえ……?)
正直ヴィヴィにとって問題の焦点は「どちらの国の代表で次の五輪に出るか?」というだけで。
日本代表のままならば、スケ連の求めに応じ日本の役所へ国籍選択届を提出。
英国代表になるならば、英国国立スケート協会へ登録届を提出。
たったそれだけで済むと思っていた。
「それは困る。英国籍を離脱して貰わないと、2年後の五輪は日本代表だとしても、その4年後また同じ問題が発生するじゃないか」
専務理事からも突き付けられたその言葉に、ヴィヴィは戸惑の表情を浮かべる。
本当のことを言うと――
22歳を超えて国籍選択しなくとも、又は、日本の国籍選択届を提出し英国籍を離脱していなくても、両国からの罰則は無い。
何故なら、英国籍からの離脱は努力義務だから。
そして今回、五輪の国籍問題を明確にする為だけに、日本の国籍選択届の提出を求められたのに。
(え゛~~。渡英する時に英国のパスポート使えて、入国審査とか楽なんだけどな~~)
それに、やはり自分には3/4も英国の血が流れている。
それをスケ連が望むからという理由だけで、英国籍を捨てねばならぬとは。