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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第2章
しかし、
「はぁ……。あれ、欲しい……」
いきなり意気消沈した様子のヴィヴィに、
「あれって?」
サラのその問いに、ヴィヴィは身振り手振りで欲しい物を説明する。
青と白のシマシマ囚人服の如き、長袖・長ズボンの水着――が欲しいと主張すれば。
「なんでまた、そんな物を?」
当たり前だが、心底不思議そうなサラに問い直される。
彼女は見事なボンキュッボン体型なので、きっと “つるぺた” のヴィヴィの気持ちなんて、一生解らないのだろう。
「ん~……。なんとなく……」
結局、尻すぼみな主張になったヴィヴィは、ビキニに着替えるためにとぼとぼと部屋へと向かう。
「ふうん? あ、ラッシュガードあるよ、貸したげよっか?」
「長袖?」
ヴィヴィの確認に頷いたサラから、借りる事になり。
水色の三角ビキニ(勝手に荷物に入れられていた)の上から長袖ラッシュガードを纏った格好で、1階にある屋内プールで泳ぐ事になった。
フラワーアレンジメントに参加していなかった男性陣の約半数が、広いプールとジャグジーで楽しんでいて。
一応覚悟はしていたが、匠海もいたのは響いてきた笑い声で判った。
水着の上から纏っていたバスローブを、何の色気も無く無造作に剥ぎ取ったヴィヴィは、
ストレッチもそこそこに、ガキっぽくプールに飛び込み。
後からやって来た叔母からゴーグルとキャップを借り、
年の近い従兄弟達とクロールで競争しながら、くたくたになるまで本気泳ぎをしまくったのだった。
8月1日(火)――エディンバラ滞在2日目。
匠海と再会してしまってから6日目のその日も、ヴィヴィはクリスと早朝からリンクへ赴いていた。
8月30日(水)~9月3日(日)には、双子主催の Twinkle ICEが。
9月16日には、Opera On ICE(イタリア・ヴェローナ)が。
そして、
9月30日(日)には、今シーズン初戦となる ジャパン・オープン(埼玉)が控えている。
正直、遊び呆けている場合ではない。
今シーズンのSPとFSは、ヴィヴィなりに新たな事に取り組む、大事なシーズン。