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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第2章
柿田トレーナーが組んでくれた通りに陸トレを行い、
Skypeで繋いだサブの女性コーチに、氷上での指導を受け。
6時間の練習を終えた双子は、充実の中にも少しの疲労を滲ませながら、ワイアット邸への帰途へと着いた。
帰宅した早々、汗を流した双子は、ダイニングで2人だけの遅めの昼食を採り。
「ちょっと、仮眠する……」
眠そうに部屋へと戻って行ったクリスと別れ、ヴィヴィはライブラリーで読書でもしようかと、ダイニングの席を立った。
「ふわわ……」
腹も満たされ適度な疲労も手伝い、ヴィヴィも小さなあくびをする。
両指を組んで「う~~ん」と上に向かって伸びをしながら、広く長い廊下を歩いていると、
サンルームから、楽しそうな笑い声が漏れ聞こえてきた。
ただ今、昼の13時過ぎ。
まさかまさか、自分の両親はもう呑んだくれているのだろうか?
さすがに連日の深酒は肝臓に悪いのではないかと、娘として一言注意を促す為、
グレーのスキニーに包まれた脚がサンルームの方へと向かって行く。
「そうか。じゃあ、匠斗の世話は、メイドがしてるのか」
母の兄であるダニー叔父さんのその声に、ヴィヴィの脚は何故か、歩を止めてしまって。
「はい。やはり2人とも外で働いているので。メイドは私の1歳下で、もう8年もの付き合いになりますので、信用のおける人物ですよ」
瞳子の柔らかなその返事に、匠海の声が被さる。
「彼女にはすごく助かっている。ただ匠斗には、英語を教えられる家庭教師を、そろそろ付けないとなあ」
気の早い父親の顔を覗かせる匠海に、
「それはぜひ頼むよ! せっかくのひ孫と意思の疎通が取れないなんて、これ以上悲しい事は無いからね」
祖父がそう力説していた。
廊下で立ち聞き状態になってしまっている自分に気付いたヴィヴィ。
話の内容も、自分が一番聞きたくない類の話題で。
静かに回れ右して、元来た道を戻ろうとした、その時。
「瞳子は何人くらい、子供が欲しいのかしら?」
祖母の発したその問いに、ヒールの低いパンプスがその場に凍りつく。