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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第15章     

「え~~? だって、モニャコよモニャコ! 地中海の宝石! ラグジュアリーでブリリアントなモニャコなのヨっ!? それもGP真っ最中のモニャコなんて、世界各国のセレブリティや著名人が集結するってのニ」

「……だぁ~かぁ~らぁ~~?」

「ワタシだって女の端くれ。「いつか白馬の王子様(イケメン大富豪に限る)が……❤」的な夢くらい見たって文句は無いでショ!」

「~~~っ」

(その儚い夢と引き換えに、友人がまたメディアの餌食になっても構わんっていうのか!?)

 しかもダリルは女装家であって、付いてるものは付いてるというのに。

 いや、それはこの際 関係無いが。

「クリスは!? クリスは何て言って丸め込まれたのっ?」
 
 元々 王子寄りだったダリルが、ほいほい美味い話に乗っかったのは理解できた。

 しかし、何故にクリスまで――?

 矛先を再び双子の兄に戻した妹に、瓜二つの男はぼそりと零す。

「……グリッド、に……」

「え?」

「グリッドに、特別に連れて行ってくれるって、言うから……」

 下から睨み上げてくるヴィヴィから すっと視線を外し、申し訳無さそうに動機を明かしたクリス。

「~~~っっ “グリッド” って何さ~~っ!? それは血を分けた妹よりも、大事なものなのかぁ~~っ!!」

 22歳にもなって、公衆の面前で地団駄を踏み悔しがるも。

 自動ドアの向こうから、パイロットらしき制服を纏った人物が、頭上に両手で○を描いているのが目に入れば、

「あら、そうこうしている内に、ヘリの出発時間じゃないノ❤ 待ってて、未来のダーリン~~っ❤❤❤」

「……モンテカルロ……。ロウズ・ヘアピン……ヌーベル・シケインでの、オーバーテイク……」

 完全に脳内お花畑のダリルと、ブツブツと意味不明の呪文を唱え始めたクリス。

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