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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第15章
双子&同居人・ダリル御一行を乗せたヘリは、オックスフォードを出立したその日の18時には、モニャコ公国最大の都市・モンテカルロに到着した。
上空では興奮冷めやらぬ様子で、眼下に広がるサーキット化した街を見下ろしていた双子の兄・クリスは、ヘリの扉が開かれた瞬間、我先に街へ繰り出そうとしたが。
この期に及んでも頑としてヘリから降りようとしない妹・ヴィヴィに気付くと、珍しく興を削がれた様に嘆息し。
そして、前から周到に準備してきたと思われる妥協案を提示してきた。
「ふぅ……分かったよ、ヴィヴィ……。じゃあ、男になろうか……」
「…………は…………?」
ヘリのプロペラ音も無くなった機内に落ちる、ヴィヴィの間抜けな問い。
その鼻先に突き付けられたのは、問いへの答えであるらしい白いアタッシュケースだった。
「じゃ、じゃーんっ! こちをご覧あそばセ! なんと “ヴィヴィならぬヴィヴィ雄(ヴィヴィオ)に変身グッズ” ですわよン♡」
ダリルのその答えで更に「はぃいいい~~っ!?」と疑問符を飛ばしまくるヴィヴィは、あれよあれよという間に兄にお姫様抱っこされてヘリポートまで連れ去られ。
これまた女装家である同居人に、あれよあれよという間に着替えさせられてしまった。
その数分後――
「……ぅわっ うわぁ~~おっ!?」
ヘリポートの一室に響いたのは、驚きと面白味が混じった感嘆の声。
細長い姿見に映し出された己の男装姿に、常ならば(氷上以外)己の外見や容姿に無頓着なヴィヴィでも惚れ惚れする。
金色のショートヘアに、何故か見覚えのあるドッドが散りばめられたグレーのベストとアンクル丈のパンツ。
それを纏ったヴィヴィの姿は、まさに――
「これ、まんまクリスやーん! 中等部の頃のクリスや~~んっ」
鏡の中の自分にエセ関西弁で突っ込んだヴィヴィは、腹を抱えて爆笑した。
というのも、二卵性双生児なのに瓜二つなので、22歳にして未だ幼さの残るヴィヴィが男装すれば、そのまんま十代の頃のクリスになってしまうのだ。
「いやぁ~~ん!! クリスがジュニアハイスクールだった頃ですっテ!? かわぃ~~い♡ んもうっ、食べちゃいたい♡」