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第3章 疑心

｢どうしたの？顔が真っ青よ｡｣

小里は百合の動揺を知ってか知らずか、楽しそうな声で話す｡
わなわなと怒りがこみ上げた百合は右手を振り上げ、小里の頬を強く叩く｡
乾いた音が辺りを包み､気が付いた時には騒ぎを聞き付けた楼主がそこに居た｡

｢何の騒ぎだい!?｣

楼主が百合と小里を物凄い剣幕で問い詰めた｡

｢百合が三味線で怪我をしてしまって、私は心配したのに百合がいきなり私を叩いたの…｣

その言葉に楼主が百合に話し掛けた｡

｢本当なのかい？｣

楼主は鋭い目で百合を見た｡

｢確かに叩いたのは事実です｡でも、三味線は毎日使う物だから、音が違うようだったので不審に思って触れたら左手を怪我しました｡｣

百合は臆する事なく、楼主に話した｡