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第1章 落花

考えていたのも束の間、楼主が様子を身に来たと思い身をすくませた｡

襖が開くと楼主ではなく、遊女が部屋に居る百合を見つめる｡

｢あんただね？楼主に叩かれてた子は｡｣

遊女の問いかけに百合はゆっくりと顔を上げる｡
凛々しくも優しそうな顔が､百合に安心感を与えたのだった｡

｢あなたは？｣

遊女は微笑み百合の頭を優しく撫でた｡

｢あちきは、夕霧｡あんたの姉弟子だよ｡｣

夕霧と名乗った遊女は百合の姉弟子だった｡
先程の万華鏡も夕霧の物だろうか｡

｢私は百合です｡これからよろしくお願いします…｣
たどたどしい言葉で百合はやっと挨拶を済ませる｡
｢良いんだよ｡百合かい、良い名だね…自分の名を大切にするんだよ？｣

夕霧の言葉には悲しいような声が混じっていた…百合はそれを察しながらいつか話してくれる事を望んだーー