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淫と乱
第1章 プロローグ
 
 漸く着替えも済んで、美奈ちゃんと二人並んで集合場所へと向かった。

「しっかしさぁ…。今更だけど、今時…コレはないよねぇ」

「そ、そうかなぁ…。真希は動きやすくて良いけど………」

 美奈ちゃんが視線を向けた先は、今時見掛けない紺色のブルマに包まれた下半身。

「アンタはどっかズレてるから……」

「し、失礼だよっ。真希はちゃんとしてるからっ」

「他の学校はハーフパンツとかなんだよ? コレじゃ、お尻とか形丸分かりじゃん」

 真希の抗議の言葉を無視する美奈ちゃん。

「確かに…ピチッとしてて………
 たまにお尻に食い込むけど………」

「でしょぉ? 男子の視線…ヤバいってぇ………」

「美奈ちゃん、考え過ぎだよぉ。 体育なんだし、そんな見てる余裕なんて………」

 さっきのお返しとばかりに、美奈ちゃんに呆れてみせた。

 しかし、美奈ちゃんは冷ややかな視線を向けてきては、顎でクイクイと明後日の方向を指してきた。

「………ごめん、美奈ちゃん。
 真希が浅はかでした………」

 植え込みの陰から、数人の男子がジイッと見ていた事に気付いたら謝らずにはいられなかった。

「しかも、爆乳母娘【オヤコ】とも噂されてんだから……
 アンタはもう少し注目されてるっ………」

「あーあーっ。分かったからぁっ。早く行かないと遅れるよぉっ」

 始まり掛けた美奈ちゃんの小言。

 一度聞いたら、延々と止まらない。

 話を続けられる前に、美奈ちゃんの手を取って走り出した。

「誰のせいだと思ってんのよっ」

 美奈ちゃんの抗議の声も受け付けずにひたすら走った。


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