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淫と乱
第2章 ヌメヌメ
 
 そして気付けば、小さな公園の前に立っていた。

 小さい頃に遊んだ記憶のある公園。

 あの頃は広く感じた公園も、大きくなってから見てみれば、その狭さに驚いたものだった。

「ここまで来れば………」

 辺りに同窓生の姿は無かった。

 いつもより早く歩いた為に、僅かに息が乱れていた。

 普段は何気なく前を素通りするだけの公園。

 疲れもあって、数年振りに脚を踏み入れてみた。


…確か…此処にベンチが………


 微かな記憶を頼りに、植栽で入口から隠されたベンチを探す。

 L字型に折れ曲がった小さな公園。

 入口から数歩進むだけで、様変わりした風景に目を見張る。


…滑り台とか…シーソー……あったよねぇ………


 残されたブランコは鎖で繋がれ、ジャングルジムは簡易な柵で使用を禁止されていた。


…少子化だから……なのかな………


 気にしながらも歩みを進めれば、折れ曲がりの角に目的の物はあった。

「はぁ………」

 思わず溜め息が溢れた。

 寂れた公園の割りには小綺麗なベンチに座りながら、改めて辺りを見回した。

「あのトイレは…相変わらずなんだ………」

 掘っ建て小屋の男女兼用トイレ。

 余りの汚らしさに、昔は入るのを嫌がっておもらしをしたものだった。

「………遠い過去の事よね。小さい時だし………」

 恥ずかしい記憶を思い出して、思わず遠くを見詰めた。
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