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淫と乱
第2章 ヌメヌメ
 
「……ん?」

 ガサッと言う物音に、意識は植え込みに向いた。


…何だろ……猫?


 物音がした方を見詰めていれば、再びガサガサと音が聞こえる。

「んん?」

 一メートルも離れていない場所からの物音。

 ベンチに両手を着いて、体を傾けながら覗き込むが植え込みの葉が繁るだけで、何が出る訳も無かった。


…風…かな………


 気のせいだと思い込んで、座り直した時だった。

 再び聞こえた、ガサガサという物音。

 今度は物音だけではなかった。

「えっ!? な、何…これ?」

 ベンチの下から、脚に向かって赤い何かが這っていた。

 ヌメッとした生々しい光沢を持った、どす赤い物体。

 三センチくらいの太さを持つソレは、クネクネと体をくねらせて脚に向かっている。

「う、うわっ」

 すかさず脚をベンチの上に乗せる。

 スカートが捲れて、ショーツが丸見えだろうと形振り構ってられなかった。

 ベンチの上で脚をM字に折り曲げながら、下を覗き込む。

「う、うわぁ……何か…グロ………」

 目的を失ったかのように、ソレは夕暮れの光にヌメヌメした体を光らせながら這っていた。

 目も無ければ、口も脚も無いソレ。

 ただ、クネクネと体を動かして地面を進んでいた。

「み、ミミズ………にしては………」

 気持ち悪いと思いながらも、大きすぎるソレから真希は目が離せなかった。
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