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淫と乱
第6章 ネバネバ
 
「よっ…ほっ…はっ………」

 いつもは短いスカートの裾を押さえて登る階段。

 しかし、今は授業中。

 誰も真希の後ろに居る訳でも無かった。

 裾を翻して、太腿を剥き出しにして階段を数段飛ばして登っても、誰にも中を覗かれない。

 しかし、そこは小柄で運痴な真希。

 いけても、二段がやっとだった。

「くそぉ……」

 何か悔しい。

 分からないけど悔しい。

 お尻が見えるくらいに勢いをつけても、おっぱいをブルンブルン揺らす程に勢いをつけても、三段目に脚が届かなかった。

 まだ階段はある。

 いくらでも、真希にチャンスはある。

 階段なんかに負けない。

 …つい、ムキになった。

 お陰で、この時ばかりは気が紛れていた。

「あとちょっとだったのに………」

 真希の体があと少し大きければ届いていたところまでいけた。

 決して、真希の脚が短かった訳じゃない。

「…まだ次が……ありゃ………」

 意気込んだところで、目の前の現実にアッサリ撃沈。

 階段は終わっていた。

 屋上へと出る、グレーの鉄扉だけが視界に飛び込んできた。

 気を紛らわす事が出来なくなれば、復活する胸騒ぎ。

 その時、廊下から見えた、眩しい外の風景が頭を過ぎった。


…景色見れば……変わるかな………


 長閑な土地に建つ学校。

 自然に恵まれた土地ならではの景色。

 見慣れているとは言え、気を紛らわしてくれるかもしれない。

 真希の手は躊躇う事も無く、鉄扉の取っ手に伸びていた。


…でも……


 いくら夢中になっていたとは言え、一階から四階、更には屋上まで一気に登れるとは思っていなかった。


…えっちの時の体力は自信あったけど……
…ここまで上がれるって……
…意外と真希って体力あるんじゃ………


『…えっち限定にしちゃいけないと思うブルッ』

 つくちゃんのツッコミが聞こえた気がする。

「…うん…空耳だよね」

 気にしないで鉄扉を開けてみた。
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