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淫と乱
第7章 グイグイ
確か、初老だった筈の理事長。
しかし、目の前に居るのは、皺だらけのヨボヨボの爺さん。
着ている高そうなスーツやサングラスは、時折見掛けた理事長と同じような物。
しかし、椅子に座って見詰めてくる爺さんは、理事長とは似ても似つかないヨボヨボ爺さん。
「あ、あの……。理事長…ですよね?」
訊かずにはいられなかった。
どうしても、あの理事長とは思えない風貌。
「ワシの他に理事長は居るのかね、三瀬くん」
言葉の言い回しと声で、理事長だとは分かった。
しかし、どうしてもこのヨボヨボ爺さんが理事長と同一人物とは思えない。
不躾ながらも、ジロジロと視線を向ける。
依然として、精液臭い理事長室の臭いに眉根が寄る。
あたしの表情に、慌てたように口を開いた爺さん。
「君のジャージを盗ったのは悪かったと………」
理事長だった。
間違いなく理事長。
最近、あたしのロッカーからジャージの下が無くなっていたと思ったら、理事長室で頭から被ってクンクン匂いを嗅いでいた理事長に間違いない。
「いきなり老けたから分かりませんでした」
匂いを嗅いでいた時はボコボコにしたから、今となってはどうでもいい。
それよりも、今は報告しなきゃいけない。
「あ、あのですね……」