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淫と乱
第10章 砂浜
 
 白い砂浜の熱さを堪えて進めば、一段と青く澄んだ海が視界いっぱいに広がった。

「ふわぁ……」

 飛び込む綺麗な景色に思わず声が洩れる。

「も、もう…ダメ………」

 その背後では、熱い砂の上で荷物の重さに耐え切れなくなった薄井くんがぐでーっと伸びていた。

 砂で焼けないのか気になる。

「だらし無いわねぇ」

 辛辣な美奈ちゃんの一言。

 薄井くんよりも多い荷物を持った赤ジャージ先生は疲れを見せるどころか、精力的に動いて早くもパラソルを組み立てている。

 赤ジャージ先生と比べたら、確かにだらし無いかもしれない。

 けど、やはり荷物を持ってくれた事を考えたら、美奈ちゃんみたいにキツイ言葉は言えない。

「そんな事言っても……」

「もぉっ…ほらっ」

 俯せに砂浜に伸びる薄井くんを起こして、水の入ったペットボトルを渡す美奈ちゃん。

 突っ慳貪に渡されながらも、薄井くんは礼を言って喉を鳴らしながら水を飲んでいた。

 何気にいい感じが出てるのは気のせいじゃない気がする。

「あらあらぁ……」

「ほぅ……アイツら……」

 両脇に立ってるお母さんとアンズ先生も、何気に微笑ましそうに眺めていた。

 これはもしかしたらもしかするかもしれない。

 そう思ったら、昂っていたテンションが更に上昇してきた。

「美奈ちゃんっ。早く着替え行こっ」

「ちょ、アンタっ。真希っ! ま、まだ………」

 早く美奈ちゃんの水着姿を薄井くんに見せて、更にいい感じになって貰わなければと思ったら、美奈ちゃんの腕を引っ張っていた。

「早く早くっ」

 何か美奈ちゃんが騒いでるけど気にしない。

 美奈ちゃんに早く遅い春を迎えさせなきゃと、真希の脚は海の家へと一直線に向かった。


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