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淫と乱
第10章 砂浜
【美奈 View】
「早く早くっ」
はしゃぐアニメ声の爆乳ちびっ子に、グイグイと腕を引っ張られる。
「ちょ、ちょっとぉっ」
アタシの言葉なんて聞こえてないのか、一目散に海の家に向かっている。
ちっこい体の何処にこんな馬鹿力があるんだろうと思うくらいに引っ張ってくる。
人気も少なく、穴場といった感じの砂浜。
それでも、全く人が居ない訳じゃない。
現に家族連れやカップル、はたまた男だけのグループや女だけのグループの姿が視界に入る。
周りの視線など気にした素振りも見せない真希。
ある一点だけを気にしなければ、はしゃぐ妹に引っ張られる姉といった様相だったかもしれない。
「遅いよぉ、美奈ちゃんっ」
走りながらアタシの方へと振り返る真希。
その器用さにびっくりするけど、それよりも目の前の光景に沸々と苛立ちが湧いてきた。
どうしようもないのは分かっている。
まだまだ希望はあると思うけど、アタシには高望みだと分かっている。
周りからの視線の一部が真希に向いている事に気付いていた。
正確には、真希の体の一部分に向けられている。
「ほらほらぁっ」
「あ、アンタねぇ……」
後ろ向きで走りながら更にピョンピョン跳ねるとか、どれだけの身体能力をしてるのか分からない。
そして、ピョンピョン跳ねる度にバインバインと跳ねる真希の胸に、苛立ちは増すばかりだった。
「もう、分かったわよっ」
これ以上屈辱的な光景を見ていられなかった。
無意識なのは分かっているけど、好奇な視線と嫉妬の視線を浴びているのに気付いていないんだろうか。
とにかく、注目を浴びてるのは確かだった。
アタシまで視線を浴びせられるのは恥ずかしくて仕方ない。
「やっと乗り気になったねっ」
この場から逃げたくて真希の腕を引っ張って歩きだせば、何か宣ったけど返事をする事も無く脚を進めた。