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淫と乱
第13章 パラソルの下
 
「えっ!? えっ!?」

 体が勝手に四つん這いになって、荷物に向かってシートの上を動いていく。

「しっかり塗らないとダメですな、ガハハッ」

「いや…塗ら……そうね。塗らないとシミも怖いし」

 何故言い直す、あたしの口。

 そして、バッグの中からクリームを取り出す、あたしの手。

 そもそも、日焼け止めなんて持ってきた覚えがない。

 無いのに持ってきてる。

 混乱する、あたしの頭。

「私もしっかり塗りますよ。ガハハッ」

 赤井先生の筋肉質の体がテカテカしてる。

 日焼け止めを塗っているとは思えないテカり。

 ボディビルダーみたいな光沢。

「…あ…。これ、ローションだった。ガハハッ」

 最初から気付かなかったんだろうか。

 とか、突っ込んでるあたしの手。

 いつの間にやら、しっかり腕や脚に日焼け止めを塗っている。

 脚をM字に開いて、内股までペタペタ。

「ちょ、ちょっと………」

 無意識でここまでやってるとなると、言葉を吐かずにはいられない。

 しかも、日焼け止めを塗る度に、体の熱さが増してきている気がする。

「おや? それじゃ、背中塗れないじゃないですか。塗ってあげますよ、ガハハッ」

 いや。

 同僚でしかないのに、肌に触れられる訳にはいかない。

「いえ、けっこ………そうね」

 だから、何で勝手に言い直す、あたしの口。

 勝手にシートの上に俯せで寝るな、あたしの体。
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