この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
淫と乱
第2章 ヌメヌメ
「ちょ、ちょっと、部長っ! そんな目ぇトロンとさせてる場合じゃ……」
慌てて大声を張り上げる。
直ぐ様、一本の触手が丸みを帯びた先端をアタシに向けてきた。
「あ、危なっ!」
大声を出してる場合じゃなかった。
抱き着いている部長ごと体を逸らせば、顔の脇をヌメッとした触手が伸びていった。
僅かに鼻に突く生臭さ。
どす赤い表面に血管の様な黒い筋が無数に透けていた。
間近に見れば見る程、グロさが際立つ。
…そういえば……一体コイツらって………
誰かの悲鳴が聞こえてから、ドワッと湧き出た感じだった。
体育館の扉は閉まっているだけに、何処からか侵入してきたとは思えない。
「って…今はっ……考えてる場合じゃっ…なかったっ」
顔の脇で体を伸ばしていた触手。
部長ごと巻き付いてこようとするのを、ひたすら避け続ける。
余り俊敏では無いアタシ。
それでも避けられる事で、一縷の希望を持ち始めていた。
…このまま……一気に出口まで………
他の部員に目を奪われている脳天気部長を無理矢理引っ張り、絡み付こうとする触手を避けながら扉へ向かおうとした時だった。
……囲まれてる…んだった………
逃げようにも、周りはグルッと触手だらけだった事を思い知らされた。
思ったより避ける事が出来た為に余裕を持ちすぎた。
思わず立ち止まったアタシ。
目に映るのは無数のヌメヌメした触手と、喘ぎ声をあげ続けている部員たち。
…もう……マズイ…よね………
頬にツゥッと汗が流れた。
触手の生臭い臭いがやけに気になりだした時だった。
「…え……なに………?」