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淫と乱
第2章 ヌメヌメ
 
【恭子 View】


「うわ…何なのアレぇ………」

 目の前の光景が信じられない。

 最近付近でも起きた事件を題材に、長引いた職員会議。

 日もすっかり落ちて、生徒たちの最終下校の時間も迫っていた。

 それだけに、生徒は居ないだろうと思いながらも、会議の結果を受けて校内を巡回していた。

 案の定、校舎内に生徒の姿は無く、廊下の窓から見えるグラウンドにも僅かな人影しかなかった。

 いつも遅くまでやっている部活だけに、特に気にする事も無く巡回を続けていた。

「まぁ、流石に学校内は大丈夫の筈ですよ。
 この私が居る訳ですしね」

 ガハハと笑い声を廊下に響かせる、角刈り筋肉ムキムキ教師。

「た…頼りにしてますぅ……」

 無駄な熱血漢に、思わず頬が引き攣る。

「私にかかれば悪いヤツなんてあっという間ですよ、霧島先生っ。
 しっかり期待しててくださいっ」

 迫ってくるムキムキ教師に、一歩退く。

 熱すぎる。

 ムダに熱い。

 筋肉ムキムキなのに、体育じゃなくて音楽教師のくせに、その自信は何処から来てるのか分からない。

 それでも、今はこの教師とセットで巡回中。

 やはり、何かあれば私より、このムキムキ教師の方が役に立ちそう。

 そう思えば、露骨にイヤな顔なんて出来やしなかった。

「霧島先生は私の傍から離れないでくださいねっ」

 ピタッと横を歩くムキムキ教師。

 やっぱり、イヤな顔を抑え切るのは無理そうだと思った時だった。
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